平成24年度 都倫研 第三回研究例会(終了)

1 日時:平成25年2月4日(月) 午後1時15分〜午後4時45分

2 場所:東京都立小山台高等学校
     〒142-0062 東京都品川区小山3−3−32
     電話:03-3714-8155 ファクシミリ:03-3714-8163
     交通:東急目黒線 武蔵小山駅前

3 内容:
     13:15 受付開始
     13:35〜14:20 公開授業
          「自然権と社会契約」(1年A組「倫理」)
                    都立小山台高校 島倉 望 先生
     14:35〜14:50 公開授業についての研究協議
     15:00〜16:30 講演「原発事故と技術の哲学」
                    東北大学大学院文学研究科准教授 直江 清隆 先生
     16:30〜16:45 事務局連絡

■公開授業の概要■(島倉望先生より)
「倫理」という言葉のうち、「倫」の文字には「集団」や「仲間」といった意味があり、「理」の文字には「決まりごと」や「ルール」といった意味があるという。これら二つの意味をあわせて考えてみると、「倫理」という言葉には「集団の中で形成されるルール」という意味があるように考えられる。現代の我々の生活においては、様々なルール、規則、法律が制定されており、基本的にその根底には人々の生活、福祉、権利を守るためといった目的がある。これはおそらく生徒にとっては極めて当たり前のことであり、もはや深く思考する必要すら日々の中では感じなくなっていることかもしれない。しかし、こうした「集団の中で形成されるルール」は、昔から当たり前のように今の形があるのではなく、人間が歴史の中で失敗と学習を繰り返す中で形成されてきたものである。授業では、今では常識となっている感覚やルールがいかに形成されてきたのか、その一端を感じてもらうために、社会契約説を用いながら、思考を深めていきたいと思う。

■講演講師紹介■
直江清隆 なおえ・きよたか 1960年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業、同大学院理学系研究科科学史科学基礎論専攻博士課程単位取得退学。山形大学教育学部助教授などを経て、現在、東北大学大学院文学研究科准教授。専攻は、現象学、科学・技術の哲学。編著に『高校倫理からの哲学』1〜4、別巻(岩波書店)、共著に『科学/技術の哲学』(岩波講座哲学)、『哲学の歴史10』(中央公論新社)、『心理学の哲学』(北大路書房)など、訳書にフィーンバーグ『技術への問い』(岩波書店)などがある。

■講演内容について■(直江清隆先生より)
科学や技術は、経済的分析の対象であるばかりではなく、人間存在論や知識論においても大きな意義をもっています。ただし、教科書では従来からの定型的な記述が多く、なかなか現在と切り結ぶのは難しいかと思います。「技術とは世界に秩序をつくる方法である」という言い方がされることがありますが、技術はたんなる応用科学なのではなく、私たちと世界との関わりを媒介する営みなのであり、私たちの生や価値を深く結びついているのです。講演では、原発事故にふれながら、哲学的、倫理学的視点からどう考えていけば良いのかをお話ししたいと思います。
参考:直江清隆「原発事故にいかに向きあうか」(『高校倫理からの哲学』別巻 岩波書店)
   直江清隆「「科学論・技術論」(小坂国継編ほか『概説 現代の哲学・思想』ミネルヴァ書房)
   直江清隆「技術の哲学と倫理」、新田孝彦ほか編『科学技術倫理を学ぶ人のために』世界思想社
   直江清隆「技術」『事典 哲学の木』講談社

※都倫研年会費未納の方は会費2,000円をご用意下さい。(学生・院生は無料)
※お問い合わせ先:東京都高等学校公民科「倫理」「現代社会」研究会事務局
 東京都立産業技術高等専門学校荒川キャンパス 和田倫明
〒116-0003 東京都荒川区南千住8−17−1 TEL:03-3801-0145 FAX:03-3801-9898
E-mail mwada@gakushikai.jp URL http://www.torinken.org/ 


平成24年度都倫研冬季研究協議会(終了)

1 日時:12月26日(水) 13:30〜17:00

2 場所:首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス会議室D・E
       東京都千代田区外神田1-18-13 秋葉原ダイビル12階1202室
       (JR秋葉原駅 電気街口改札出て右 徒歩1分)

3 内容:
    (1)13:30〜15:10 読書会:ルソー『人間不平等起源論』
               レポーター 伊藤昌彦先生(荒川商業高校)
                ・レポーターからのお知らせはこちら。事前にお読みいただけなかった場合でも、どうぞご参加ください。
    (2)15:20〜17:00 実践交流会
                ・授業プリントなどを持ち寄って、日常の授業実践の交流を図ります。プリント50部程度ご用意ください。
                ・プリントなしの参加、学生・院生の実習や研究のレポートも歓迎します。
*読書会についての詳細はこちらです。(初回と同じもの)
*当日はコピー等の使用ができません。配布物等はあらかじめご用意ください。
*時間は目安です。途中参加・退室自由です。
*参加には年会費2000円が必要です(学生・院生は無料)。未納の方は当日申し受けます。


平成24年度 都倫研 第二回研究例会(終了)

1.日 時  平成24年11月12日(月)午後1時30分〜午後5時00分

2.会 場  東京都立六本木高等学校
                〒106-0032 東京都港区六本木6-16-36
                電話:03-5411-7327 FAX:03-5411-7367
                交通:営団地下鉄 日比谷線 六本木駅 出口1C 徒歩7分
                   都営地下鉄 大江戸線 麻布十番 出口7  徒歩8分
                   営団地下鉄 南北線  麻布十番 出口4  徒歩9分
            (詳細はhttp://www.roppongi-h.metro.tokyo.jp/introduction/access.pdf参照)

3.内 容
        13:10 受付開始
        13:40〜14:30 公開授業「水資源とその利用」(「地理A」 4階408教室)
                        東京都立六本木高等学校主任教諭 宮路みち子 先生
        14:30〜14:45 休憩
        14:45〜15:00 公開授業についての研究協議
        15:00〜16:30 講演「和辻風土論と武士の思想」
                        東京大学大学院教授 菅野覚明 先生
        16:30〜16:45 事務局連絡
        17:00 閉会

■公開授業の概要■(宮路みち子先生より)
 東京都立六本木高等学校は,東京都に5校あるチャレンジスクールの1つです。定時制・三部制・総合学科・単位制という特色があります。不登校を経験した生徒や中途退学をした生徒を含め,これまで自分の能力を生かしきれなかった生徒が目標を見つけ,実現に向けてチャレンジする学校です。
 水は人間に必要不可欠な資源ですが,日本では重要性があまり認識されていません。この授業では,水資源について国際政治や経済の面からも考察し,身近な例として井の頭池など多摩地区の地下水問題を取り上げます。
 また本校は今年度,言語能力向上推進校とOJT推進モデル校の指定を受けています。本授業はその研究授業も兼ねており,言語活動の充実を目指して,TTをおこなう予定です。

■講演講師ご紹介■
 昭和31年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現職、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻は、倫理学・日本倫理思想史。主な著書に、『本居宣長』(ぺりかん社)、『神道の逆襲』(講談社現代新書)、『武士道の逆襲』(同)、『武士道に学ぶ』(日本武道館)、『日本の元徳』(同)、『詩と国家』(勁草書房)などがある。

■講演内容について■(菅野覚明先生より)
 和辻哲郎の風土論は、単なる比較文化論ではなく、人間存在論あるいは自然哲学なのですが、その機微は教科書の限られた記述では尽くしがたく、高校生にはなかなか伝わりにくいものと思います。「風土」は、ものとしての自然ではなく、自然をいわば鏡として映し出された人間存在の姿であり、したがってそれは、人間の観念・思想の世界と構造的に対応しています。この講演では、風土の三類型の要点を押さえながら、特にモンスーン型の特殊類型(日本)と日本思想の対応関係を、武士道思想などを例として考えていきたいと思います。


ベルクソン科研主催、都倫研共催
ワークショップ「フランスと日本の高校における哲学教育の現在」(終了)

1 日時:10月16日(火) 18:00〜20:00

2 場所:法政大学 九段校舎3階遠隔講義室

3 内容:フランスの高等学校の哲学教師と、都倫研から、それぞれ高校の哲学・倫理教育についての報告を行い、討論を深めます。

*詳細はこちら
*入場無料、事前予約不要、通訳付。都倫研主催ではありませんので、会費不要です。


平成24年度都倫研夏季研究協議会(終了)

1 日時:8月28日(火) 14:00〜17:30

2 場所:東京都立立川高等学校

3 内容
    (1)14:00〜15:40 読書会:上野修『スピノザの世界』(講談社現代新書)
               レポーター 菅野功治先生(立川高校)
    (2)15:50〜17:30 実践交流会
                ・授業プリントなどを持ち寄って、日常の授業実践の交流を図ります。プリント40部程度ご用意ください。
                ・プリントなしの参加、学生・院生の実習や研究のレポートも歓迎します。
*読書会についての詳細はこちら、レポーターからのお知らせはこちらをクリックしてご覧ください。


平成24年度都倫研総会ならびに第一回研究例会(終了)

1 日時:平成24年6月4日(月)14:00〜17:00(13:45受付開始)

2 場所:東京都立三田高等学校 〒108-0073 港区三田1-4-16
    (JR田町駅15分、都営三田線芝公園駅7分、都営大江戸線赤羽橋駅5分ほか)

3 内容:
  (1) 平成24年度総会
  (2) 平成23年度研究活動の総括及び平成24年度研究活動について
  (3) 講演「現代倫理と道徳教育」 立教大学教授 河野哲也 先生

◆講演講師プロフィール◆
河野哲也(こうのてつや)1963年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(哲学)。玉川大学文学部准教授などを経て、現在、立教大学文学部教育学科教授。専門は、哲学・倫理学。著書に『〈心〉はからだの外にある』(NHKブックス)、『善悪は実在するか』(講談社選書メチエ)、『意識は実在しない−心・知覚・自由』(講談社選書メチエ)、『道徳を問いなおす−リベラリズムと教育のゆくえ』(ちくま新書)など、監訳書にシャロン・ケイ、ポール・トムソン『中学生からの対話する哲学教室』(玉川大学出版部)など。
◆講演内容について(河野哲也先生より)◆
これまで日本では、倫理学・哲学の専門家は、道徳教育の問題に全くといってよいほど無関心であった。現代倫理学の立場からは、道徳教育について、何を、どのように教えればよいかについて、いかなる示唆が可能であろうか。現代の倫理学の特徴は、政治哲学と区別できないほど強く結びついていることにある。このことは、倫理性・道徳性が、自分の身近な他者に対する善き態度だけでは十分ではなく、倫理的な社会を形成していく政治的な主権者として態度を要請していることを意味している。言い換えれば、私たちの行動は大きく広い範囲の他者に関係しており、自分の行動がどのような影響を見知らぬ他者にもたらしているのかについての認識とそれに基づいた政治的態度が道徳的に不可欠なのである。子どものための道徳教育においても、主権者性の獲得こそが重視されるべきである。では、そうした主権者形成としての道徳教育は、どうあるべきか、どのような方法が妥当であるのだろうか。皆様とご一緒に考えて行きたいと思う。

4 年会費 2000円(当日受付)
   ※当研究会は個人会員制で、ご参加には年会費2,000円が必要です。当日会場受付でお納めください。
   ※都立高校教員に限らず、国私立、近県の先生方にもご参加いただけます。
   ※公民科教育に関心がある学生、教員志望の学生も参加できます。学生会員は無料です